猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

2016-09-10から1日間の記事一覧

いっぱい書いたなあ

こんな話かいた

年に一度。赤い満月の夜。魔法の鏡協会は、孤島の塔で集会を開く。世界に散らばった鏡たちが黒い覆面を被り、愚痴を言い合う会である。鏡は他の鏡に映ることを嫌う。なんだか目眩するし。それぞれ自分が一番ピカピカで、歪みもない、とも思っている。 地上の…

こんな話かいた

風が吹けば、ぼくらは落ち着かない。ぼくは思ってる。遠くに行かないで、ずっと此処にいて、と。君は思ってる。なんだか重い、と。仕方ないじゃん。ぼくはペーパーウェイト。 一枚の葉書を受け取り思い出した。緑園さん、上緑さん、緑川さん、緑谷さん、常緑…

こんな話をかいた

箱庭のお城を作った。端切れの森にボタンの堀、空き箱の城壁、髪留めの跳ね橋。扉に飾って、お城を見下ろした。何か足りない。怪獣を縫い付けて、よしとした。呼び鈴がなり扉を開くと、審問官が立っていた。同行することになり、扉を閉めた。箱庭が落ちる音…

こんな話をかいた

また砂漠の夢の見た。男は椅子に座り、汗を拭った。机の引き出しを開け、西瓜を取り出す。西瓜は三角にカットされており、冷えている。一口、食べて生き返る。ふぅ。 ロケットの墓場で、幽霊が泣いていた。なんでまだ大地に結びつけられているのだろうと。重…

こんな話かいた

夢の中で私を見た。波打ち際で半分、濡れながら寝返りをうっていた。 海水は透明で底まで見えた。ゼリーのような波が、子猫みたいに揺れていた。浮き輪を持った獏が歩いてくる。子連れのようだ。私はうなされていたが。遠くまで浅い海のようだった。 ウナス…

こんな話かいた

夕暮れ。モールの屋上に、河童が倒れていた。買い物袋から缶ビールを取り出し、河童の頭にかけた。聞けば皿に星を映しに来たのだという。皿に星を映すと?風邪をひかないそうだ。へえ。手にしてた缶ビールはまだ半分、残ってて。つい飲んでしまった。あ。仕…

こんな話かいた

探偵は落胆し椅子に沈みこんでいた。そこに壁紙を手にした大家さんやってきて世間話を始めた。日曜大工が趣味の夫人だった。Aが攻めでBがウケという話を聞かされた。蝉の声。夫人がリフォームを続けるのは壁に埋めたものが心配だからだ。彼女の夫が失踪した…

こんな話かいた

彼女がデジャブというとき。それは霧のようなものを指すのだった。指からこぼれおちた名前。あるいは日付。なにか大切なものだった気もするが。かつて通ったはずの道にかかるモヤで、彼女は確信が持てない。自分の足は地面を踏んでいるのか。ぼくは王様。四…

こんな話かいた

月夜の海岸で、人魚と出会った。口をパクパクさせて困ったように笑う。素敵な人魚だった。ぼくは話した。伝わらなくても話したい事は尽きなかった。真剣な眼差し。人魚はぼくの手をとると海中へと誘った。人魚は言った。「さあ私の番ね」海中の人魚はめっち…

こんな話かいた

死にかけた冴えない男に悪魔は言った。「三つの願い事を叶えよう」男の願いは単純だった。「葬式用にピカピカの靴を一足くれ、あと俺の事は忘れて欲しい」そこで男は事切れた。鐘が鳴った。ピカピカの靴を履いた男の葬式に悪魔も参列した。何か忘れている気…

こんな話かいた

「愛してる」と彼女が言う。もちろん「愛してる」と私も言う。疑問文のような、間投詞のような、ただ挨拶のような「愛してる」がいっぱい!「愛してる」で足の踏み場もない、ってことにならないのは幸いなことだ。二人とも物忘れが得意になっているのだ。 山…

こんな話かいた

ドアの前で蝉が倒れていたので介抱してやった。砂糖水を飲んで一服。蝉は頭を下げた。「助かりました、ぜひお礼にしたいのですが、私には切要な使命があるです、ままならぬかもしれません」とのことだった。蝉は飛び立った。 切要な使命って、交尾のことだと…