猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

短い話

こんな話をかいた

床屋の親父は言った。「セックスとは過去への旅だ」 「ほーほーと雄叫びをあげる猿の時代、故郷の川を遡りぴちぴちと跳ねる魚の時代、たゆたう単細胞生物の時代への旅なのだ、とおれは思うのだよ」 窓の外では青白赤のサインポールと、煤けた機関車が回転し…

こんな話をかいた

鳥男たち その日の午後、不覚にも※※※公園の砂漠で干からび、ぼくは倒れてしまった。すぐ横では鳥男たちが呑気に歩いていた。鳥男の一人に向かって腕をのばし、ぼくは言った。 「もし、そこの鳥のひと、あそこに見える水飲み場まで行って、この水筒に水を汲ん…

こんな話を書いた

新しい靴をはいて散歩に出たら。公園の咲き誇る藪椿の木の前で、写真撮影してる人達を見た。被写体は髪の短い少女で、着物の柄も赤い椿で、二枚のレフ板が彼女の白い歯を照らしていた。首長竜の滑り台があって、木蓮も咲いていた。街を見下ろす丘の上の駐車…

こんな話かいた

ふたりの本 思い出の本を手にとった。すっかり忘れていた。 むかし彼女と二人で読んだ。笑いながらベットの上で。 愉快な読書だった。手にとり目をおとすが、 うまく文字を追うことが出来ない。 笑ってもいいが、何かを読み解いてのことではない。 同時に二…

こんなオンラインブックつくった

『お手軽るチョコレシピ集』 絵 aruerula 文 Hikokuma http://bccks.jp/bcck/148353/info バレンタインデーをめぐる超みじかい話。2011年にまとめたもの。 今年また少しだけ書き直して、アップしなおした。 d(・(ェ)・)

こんな話かいた

無限のニュアンスに開かれたニャー 「ニャー」だけですべてをすませよう、という人は多くはない。 が、まったく斬新な試みだ、という訳でもない。何をいっても「ニャー」 万能の「ニャー」を信じるニャーニストはこれまでもいた。 とあるニャーニストは、感…

こんな話をかいた

十羽の鶏 今はむかし。 峠に十羽の鶏がおりました。 十羽の鶏は粗にして野で大声でした。 時をかまわず、ときの声をあげ、 お日様まで迷惑するほどでした。ある日、峠をこえる旅人がおりました。 いつものように十羽の鶏は大声をあげ、 ぐるぐる駆け回りはじ…

こんな話を書いた

穴掘り 晴天、いい陽気だった今日。私は庭で穴を掘っていた。 すると暇そうな人がきて、しばらく穴掘りを見物してからこう言った。 「何してるんですか?」 私は答えた。 「穴を掘っています」 暇な人は持て余した時間を使い考えた。20秒くらい。 「なんのた…

こんな話をかいた

謎はとけた 窓の外には雪だるま。そして星空が広がっている。 女の子の部屋で、女の子が眠りにつこうとしている。 ドアが開き、部屋に斜めの光が入る。 やってきたのは父親で、少女の額にキスをする。 女の子は言う。 「私にチューしていいのは、お父さんだ…

こんな話かいた。

風vs空 空っていいな、って改めて思った。なんでもいいのだ。最後に空を持ってくれば。なんとなく、それっぽい感じする。いちおう。絵は完成する。ような気がして、ポエマーは空を見上げる。 困ったら、空を見よ って言った詩人さんもいた風派と空派のふたつ…

こんな話を書いた

昼ね王クマイセン4世 その日、王さまはお城の中を歩いて、絵を見ていた。 その廊下には3枚の肖像が掛かっていた。 左からクマイセン1世、クマ勝利王とも呼ばれており、クマ王国の祖だ。 だが、もとはといえばクマ染料と風車脱穀で財をなした商人という記…

テンテンは南極探検にも似ている

たまに点描というものに挑戦することがある。グラデーション的な表現ができたら、いいなあ、と思って。でも、すぐに飽きてしまう。テンテンを打つ作業は孤独だ。あれこれ考えだし、はやく結果を見たくなる。そうすると、ひとつのひとつのテンテンも雑になり…

こんな話を書いた

固定電話の風景 沢山の黒い靴。お葬式で家族が集まっている。 買い物を頼まれて外に出かけようとすると、自転車がない。邪魔だったから裏の空き地に置いてきたよ、と姉が言う。勝手口から外に出る。空き地というより荒れた畑で自転車もない。姉は肩をすくめ…

こんな話かいた

年に一度。赤い満月の夜。魔法の鏡協会は、孤島の塔で集会を開く。世界に散らばった鏡たちが黒い覆面を被り、愚痴を言い合う会である。鏡は他の鏡に映ることを嫌う。なんだか目眩するし。それぞれ自分が一番ピカピカで、歪みもない、とも思っている。 地上の…

こんな話かいた

風が吹けば、ぼくらは落ち着かない。ぼくは思ってる。遠くに行かないで、ずっと此処にいて、と。君は思ってる。なんだか重い、と。仕方ないじゃん。ぼくはペーパーウェイト。 一枚の葉書を受け取り思い出した。緑園さん、上緑さん、緑川さん、緑谷さん、常緑…

こんな話をかいた

箱庭のお城を作った。端切れの森にボタンの堀、空き箱の城壁、髪留めの跳ね橋。扉に飾って、お城を見下ろした。何か足りない。怪獣を縫い付けて、よしとした。呼び鈴がなり扉を開くと、審問官が立っていた。同行することになり、扉を閉めた。箱庭が落ちる音…

こんな話をかいた

また砂漠の夢の見た。男は椅子に座り、汗を拭った。机の引き出しを開け、西瓜を取り出す。西瓜は三角にカットされており、冷えている。一口、食べて生き返る。ふぅ。 ロケットの墓場で、幽霊が泣いていた。なんでまだ大地に結びつけられているのだろうと。重…

こんな話かいた

夢の中で私を見た。波打ち際で半分、濡れながら寝返りをうっていた。 海水は透明で底まで見えた。ゼリーのような波が、子猫みたいに揺れていた。浮き輪を持った獏が歩いてくる。子連れのようだ。私はうなされていたが。遠くまで浅い海のようだった。 ウナス…

こんな話かいた

夕暮れ。モールの屋上に、河童が倒れていた。買い物袋から缶ビールを取り出し、河童の頭にかけた。聞けば皿に星を映しに来たのだという。皿に星を映すと?風邪をひかないそうだ。へえ。手にしてた缶ビールはまだ半分、残ってて。つい飲んでしまった。あ。仕…

こんな話かいた

探偵は落胆し椅子に沈みこんでいた。そこに壁紙を手にした大家さんやってきて世間話を始めた。日曜大工が趣味の夫人だった。Aが攻めでBがウケという話を聞かされた。蝉の声。夫人がリフォームを続けるのは壁に埋めたものが心配だからだ。彼女の夫が失踪した…

こんな話かいた

彼女がデジャブというとき。それは霧のようなものを指すのだった。指からこぼれおちた名前。あるいは日付。なにか大切なものだった気もするが。かつて通ったはずの道にかかるモヤで、彼女は確信が持てない。自分の足は地面を踏んでいるのか。ぼくは王様。四…

こんな話かいた

月夜の海岸で、人魚と出会った。口をパクパクさせて困ったように笑う。素敵な人魚だった。ぼくは話した。伝わらなくても話したい事は尽きなかった。真剣な眼差し。人魚はぼくの手をとると海中へと誘った。人魚は言った。「さあ私の番ね」海中の人魚はめっち…

こんな話かいた

死にかけた冴えない男に悪魔は言った。「三つの願い事を叶えよう」男の願いは単純だった。「葬式用にピカピカの靴を一足くれ、あと俺の事は忘れて欲しい」そこで男は事切れた。鐘が鳴った。ピカピカの靴を履いた男の葬式に悪魔も参列した。何か忘れている気…

こんな話かいた

「愛してる」と彼女が言う。もちろん「愛してる」と私も言う。疑問文のような、間投詞のような、ただ挨拶のような「愛してる」がいっぱい!「愛してる」で足の踏み場もない、ってことにならないのは幸いなことだ。二人とも物忘れが得意になっているのだ。 山…

こんな話かいた

ドアの前で蝉が倒れていたので介抱してやった。砂糖水を飲んで一服。蝉は頭を下げた。「助かりました、ぜひお礼にしたいのですが、私には切要な使命があるです、ままならぬかもしれません」とのことだった。蝉は飛び立った。 切要な使命って、交尾のことだと…

こんな話かいた

夜、駅前のコンビニに向かって歩いていた。雨あがりで信号が路面に映っていた。見ると向こうから一人の女が歩いてきた。黒髪の長い女だったが、俯いている。30メートルは離れていたと思うのだが、彼女の顔だけが妙に明るいのだった。面の白い女が近づいて…

こんな話を書いた

砂漠で渇いていると。天使が飛んできて、冷えた瓜の一切れを口に入れてくれた。もぐもぐしながら思い出した。嘘つきの舌を引っこ抜く係に、私はなりたかった。やっとこで、ぐいっと。抜いた舌を壺にいれて、泣てる嘘つきの口に飴玉を入れる。そして言うのだ…

こんな話を書いた

日曜日。モールのエスカレーターに乗り、1階に向かっていたら。筋肉ムキムキのひとが駆け上ってきて、ぼくも突き飛ばされた。黒い服の男たちが彼を追っていた。ぼくは身をかがめてその場をやり過ごし。部屋に帰った。きっと惑星規模の危機が迫っていたのだ…

こんな話をかいた

朝。扉が開かれる。部屋は帆船の沈む海底のように静かで、傾しいだ光の中を彼女は泳ぐようにやってくる。彼女の問いかけに、私は答える。世界で一番美しいのはお妃さまです、と。嘘などついていない。私は彼女の専門家であり幾許なりと世界平和にも貢献して…

こんな話かいた

むかし近所に、白い煙突が立っていた。煙突は高い壁に囲まれ、先端は少し尖っていた。煙突は真新しく、煙なんか出さなかった。ただ青空に向かって白く伸びていた。ぼくは子供で。何の工場だろう、って疑問も抱いてはいなかった。 そんな夏の夕暮れ。サイレン…