猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

短い話

こんな話かいた

無限のニュアンスに開かれたニャー 「ニャー」だけですべてをすませよう、という人は多くはない。 が、まったく斬新な試みだ、という訳でもない。何をいっても「ニャー」 万能の「ニャー」を信じるニャーニストはこれまでもいた。 とあるニャーニストは、感…

こんな話をかいた

十羽の鶏 今はむかし。 峠に十羽の鶏がおりました。 十羽の鶏は粗にして野で大声でした。 時をかまわず、ときの声をあげ、 お日様まで迷惑するほどでした。ある日、峠をこえる旅人がおりました。 いつものように十羽の鶏は大声をあげ、 ぐるぐる駆け回りはじ…

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穴掘り 晴天、いい陽気だった今日。私は庭で穴を掘っていた。 すると暇そうな人がきて、しばらく穴掘りを見物してからこう言った。 「何してるんですか?」 私は答えた。 「穴を掘っています」 暇な人は持て余した時間を使い考えた。20秒くらい。 「なんのた…

こんな話をかいた

謎はとけた 窓の外には雪だるま。そして星空が広がっている。 女の子の部屋で、女の子が眠りにつこうとしている。 ドアが開き、部屋に斜めの光が入る。 やってきたのは父親で、少女の額にキスをする。 女の子は言う。 「私にチューしていいのは、お父さんだ…

こんな話かいた。

風vs空 空っていいな、って改めて思った。なんでもいいのだ。最後に空を持ってくれば。なんとなく、それっぽい感じする。いちおう。絵は完成する。ような気がして、ポエマーは空を見上げる。 困ったら、空を見よ って言った詩人さんもいた風派と空派のふたつ…

こんな話を書いた

昼ね王クマイセン4世 その日、王さまはお城の中を歩いて、絵を見ていた。 その廊下には3枚の肖像が掛かっていた。 左からクマイセン1世、クマ勝利王とも呼ばれており、クマ王国の祖だ。 だが、もとはといえばクマ染料と風車脱穀で財をなした商人という記…

テンテンは南極探検にも似ている

たまに点描というものに挑戦することがある。グラデーション的な表現ができたら、いいなあ、と思って。でも、すぐに飽きてしまう。テンテンを打つ作業は孤独だ。あれこれ考えだし、はやく結果を見たくなる。そうすると、ひとつのひとつのテンテンも雑になり…

こんな話を書いた

固定電話の風景 沢山の黒い靴。お葬式で家族が集まっている。 買い物を頼まれて外に出かけようとすると、自転車がない。邪魔だったから裏の空き地に置いてきたよ、と姉が言う。勝手口から外に出る。空き地というより荒れた畑で自転車もない。姉は肩をすくめ…

こんな話かいた

年に一度。赤い満月の夜。魔法の鏡協会は、孤島の塔で集会を開く。世界に散らばった鏡たちが黒い覆面を被り、愚痴を言い合う会である。鏡は他の鏡に映ることを嫌う。なんだか目眩するし。それぞれ自分が一番ピカピカで、歪みもない、とも思っている。 地上の…

こんな話かいた

風が吹けば、ぼくらは落ち着かない。ぼくは思ってる。遠くに行かないで、ずっと此処にいて、と。君は思ってる。なんだか重い、と。仕方ないじゃん。ぼくはペーパーウェイト。 一枚の葉書を受け取り思い出した。緑園さん、上緑さん、緑川さん、緑谷さん、常緑…

こんな話をかいた

箱庭のお城を作った。端切れの森にボタンの堀、空き箱の城壁、髪留めの跳ね橋。扉に飾って、お城を見下ろした。何か足りない。怪獣を縫い付けて、よしとした。呼び鈴がなり扉を開くと、審問官が立っていた。同行することになり、扉を閉めた。箱庭が落ちる音…

こんな話をかいた

また砂漠の夢の見た。男は椅子に座り、汗を拭った。机の引き出しを開け、西瓜を取り出す。西瓜は三角にカットされており、冷えている。一口、食べて生き返る。ふぅ。 ロケットの墓場で、幽霊が泣いていた。なんでまだ大地に結びつけられているのだろうと。重…

こんな話かいた

夢の中で私を見た。波打ち際で半分、濡れながら寝返りをうっていた。 海水は透明で底まで見えた。ゼリーのような波が、子猫みたいに揺れていた。浮き輪を持った獏が歩いてくる。子連れのようだ。私はうなされていたが。遠くまで浅い海のようだった。 ウナス…

こんな話かいた

夕暮れ。モールの屋上に、河童が倒れていた。買い物袋から缶ビールを取り出し、河童の頭にかけた。聞けば皿に星を映しに来たのだという。皿に星を映すと?風邪をひかないそうだ。へえ。手にしてた缶ビールはまだ半分、残ってて。つい飲んでしまった。あ。仕…

こんな話かいた

探偵は落胆し椅子に沈みこんでいた。そこに壁紙を手にした大家さんやってきて世間話を始めた。日曜大工が趣味の夫人だった。Aが攻めでBがウケという話を聞かされた。蝉の声。夫人がリフォームを続けるのは壁に埋めたものが心配だからだ。彼女の夫が失踪した…

こんな話かいた

彼女がデジャブというとき。それは霧のようなものを指すのだった。指からこぼれおちた名前。あるいは日付。なにか大切なものだった気もするが。かつて通ったはずの道にかかるモヤで、彼女は確信が持てない。自分の足は地面を踏んでいるのか。ぼくは王様。四…

こんな話かいた

月夜の海岸で、人魚と出会った。口をパクパクさせて困ったように笑う。素敵な人魚だった。ぼくは話した。伝わらなくても話したい事は尽きなかった。真剣な眼差し。人魚はぼくの手をとると海中へと誘った。人魚は言った。「さあ私の番ね」海中の人魚はめっち…

こんな話かいた

死にかけた冴えない男に悪魔は言った。「三つの願い事を叶えよう」男の願いは単純だった。「葬式用にピカピカの靴を一足くれ、あと俺の事は忘れて欲しい」そこで男は事切れた。鐘が鳴った。ピカピカの靴を履いた男の葬式に悪魔も参列した。何か忘れている気…

こんな話かいた

「愛してる」と彼女が言う。もちろん「愛してる」と私も言う。疑問文のような、間投詞のような、ただ挨拶のような「愛してる」がいっぱい!「愛してる」で足の踏み場もない、ってことにならないのは幸いなことだ。二人とも物忘れが得意になっているのだ。 山…

こんな話かいた

ドアの前で蝉が倒れていたので介抱してやった。砂糖水を飲んで一服。蝉は頭を下げた。「助かりました、ぜひお礼にしたいのですが、私には切要な使命があるです、ままならぬかもしれません」とのことだった。蝉は飛び立った。 切要な使命って、交尾のことだと…

こんな話かいた

夜、駅前のコンビニに向かって歩いていた。雨あがりで信号が路面に映っていた。見ると向こうから一人の女が歩いてきた。黒髪の長い女だったが、俯いている。30メートルは離れていたと思うのだが、彼女の顔だけが妙に明るいのだった。面の白い女が近づいて…

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砂漠で渇いていると。天使が飛んできて、冷えた瓜の一切れを口に入れてくれた。もぐもぐしながら思い出した。嘘つきの舌を引っこ抜く係に、私はなりたかった。やっとこで、ぐいっと。抜いた舌を壺にいれて、泣てる嘘つきの口に飴玉を入れる。そして言うのだ…

こんな話を書いた

日曜日。モールのエスカレーターに乗り、1階に向かっていたら。筋肉ムキムキのひとが駆け上ってきて、ぼくも突き飛ばされた。黒い服の男たちが彼を追っていた。ぼくは身をかがめてその場をやり過ごし。部屋に帰った。きっと惑星規模の危機が迫っていたのだ…

こんな話をかいた

朝。扉が開かれる。部屋は帆船の沈む海底のように静かで、傾しいだ光の中を彼女は泳ぐようにやってくる。彼女の問いかけに、私は答える。世界で一番美しいのはお妃さまです、と。嘘などついていない。私は彼女の専門家であり幾許なりと世界平和にも貢献して…

こんな話かいた

むかし近所に、白い煙突が立っていた。煙突は高い壁に囲まれ、先端は少し尖っていた。煙突は真新しく、煙なんか出さなかった。ただ青空に向かって白く伸びていた。ぼくは子供で。何の工場だろう、って疑問も抱いてはいなかった。 そんな夏の夕暮れ。サイレン…

こんな話かいた

約束事とてない日曜日。っていうか約束があることなど殆どないのだが。熱いコーヒーを飲みながら考えた。「学校で教えるべきことをひとつあげるとすれば、なんですか?」 いろいろな答えがあるだろう。選挙制度っていうひと。討論の仕方っていうひと。わが国…

こんな話をかいた

硝子コップにも似た部屋の中でも大気は流れる。大気は書物に似て、読まれるためにある。流れ淀む空気を論じる空気論者は部屋全体、コップ世界全部を眺め論をすすめる。空気論者は部屋全体主義者でもあるのだ。 しばしば解釈は分かれ、空気論者どうしの仲は悪…

こんな話かいた

シュールとは学校に通ってる頃に出会った。黒髪の少年は考えていた。ぼくには、どんな意味があるのだろう。鏡の前で前髪をいじりつつ彼はいった。……「なんだか分からないけど、かっこいい感じ?」…… あるときシュールは美術教師に尋ねてみた。「シュールって…

まえにつくった本の再録 

まえにパブーでつくった本の再録。絵はあるえさん。 『てのひらのドラゴン』 絵 あるえ 文 かなりひこくま著

あらよ、とオンラインブックつくった

という訳です。 『夢の中の猫』 仮成彦熊著