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金魚鉢の比喩

きょう本を読んでいたら、金魚鉢の比喩が出てきた。金魚鉢の中の金魚にとって一番、見えないものは何かといえば、それは自分を囲んでいる水だ。金魚のまわりにある水は金魚にとっての世界そのものでもあるはずなのに──あるいはそれゆえに──意識することは難しい、というような話だった。活字から目をあげぼくは思った。ぼくの回りにあるのは空気だな、と。

いま、ぼくがいる部屋ほどの泡をつくり海中に沈めたなら、海の魚たちは物珍しそうにぼくを眺めてくれるだろうか。海の魚にとってぼくのいる泡は、ちょうど金魚鉢みたいなものだが、ぼくは有限な空気を激しく意識するような気もする。閉じ込められて在ることは息苦しい。金魚鉢の中の金魚も──ときどきかもしれないけど──水を意識してるんじゃないかなあ。