猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

古い自転車屋

今日、古い自転車屋をみた。看板に大きく自転車と書かれていたので間違いないと思うのだが。その文字は日焼けして、もうあまり商売はしていないようだった。車の通りも多い幹線沿いだが、その一画だけが時代にとり残されているような感じ。なにが古いといって、まず目につくのは屋根を被っている緑の苔。ところどころでは雑草まで生えていた。ガラス戸は閉じられいるが人の気配はあって、通りに面した日の差し込む場所は日なたぼっこには丁度よさそう。狭い路地の方に入ると小さな庭があって、少し荒れてはいるけど名前も知らない花々が咲いていた。日陰にはすっかり埃をかぶった、さまざまの道具が積み上げられており、こじんまりとした年寄りが住んでいるのだな、とぼくは思った。そしてその老人がこの世を去ったとき、この家も取り壊されるのだ、とも。こう云ってはなんだけど。平らにならされ、しばらくは雑草の生い茂る更地にされるのもいい。人の住まない家が何年も壊れたままであるのは、なんだか淋しいから。