猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた タイトル「門のまえで」

おどろおどろしい門があって顔の形。その口は云った。
「我をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ」
私は躊躇して引き返した。が、次の日にはまた門の前にいた。門はまた言った。
「我をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ」
私は、また引き返した。そんなことを一万回もくりかえした。
一万回の「我をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ」を聞いたことになる。
すっかり顔馴染みになった私にとって門の言葉は本来の意味を失い、
おはよう、とか、こんばんわ、とかいう挨拶と同じように響いていた。
私的翻訳を告白すれば。
一昨日の「我をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ」は「やあ、元気?」
きのうの「我をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ」は「いつも、ごくろうさま」
いずれ門はこう述べるだろう。「きみのこと、けっこう好きかも」