猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「頭痛」

頭痛
  
その日、私はひとりテーブルに肘をつき、冷たいコップを額にあてていた。激しい頭痛の訪れだった。あまりに痛いので電話をとり、ドクターに往診をお願いすると。すぐに先生はやってきて、ひとしきり私の症状と愚痴を聞いたあと、なるほど、と言い、黒い鞄の口を……それはガマ口みたいな構造だった……カパリと開き大きな包丁をとりだした。あのう、先生、それは?という私の心配顔をよそに。先生は、大丈夫、大丈夫、と仰って、私の頭をスパッと切断された。
「先生、麻酔もなしに酷いじゃないですか」という私の抗議に先生は、また、大丈夫、大丈夫、とくり返し、根本原因たる患部は削除しました、もう平気です、と仰るのであった。テーブルに置かれた視点から眺める自分の体は奇妙だ。私は言った。
「しかし先生。痛いのは私の頭で私はその頭から、この痛みを報告している訳で、ぜんぜん問題の解決になっていないような気もするのですが」
すると先生は、またまた、大丈夫、大丈夫、をくり返し、ではまた来週、様子を見に伺いましょう、と言って帰っていった。
ひとり残された私は離ればなれになった体を眺めた。私がウーンと念じると、私の体は不器用なロボットのように動いた。これからの生活の困難を考えるとタメ息も漏れるけど。私の体の動きは面白いな、と思った。
 
 
※この話もハイクに投稿したもの。むかし、これと良く似た話を書いたような気がするけど、まっ、いっか。