猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「線香キック」

線香キック
  
八月。炎天直下の墓地で、少年が墓石を蹴っていた。そんなことをしてはいけないよ、と注意すると、なぜ?と聞き返された。容赦なく日が照りつける一本道を歩いてきた私は、それだけでぐったりしてしまい、水桶をその場に置き座りこんだ。「なぜでも」
尋ねると、少年の母親が他界し、なんだかそれが腹立たしく墓石を蹴っていたそうだ。なにも知らないのに不躾なことを聞いたみたいで、私は少し恥ずかしくなった。
「でも、お墓を蹴るのはよくないと思うな、そのお墓というか、草葉の陰で、お母さんも悲しむでしょう」
少年は、そうかもね、とこたえ顔をそむけた。
「まあ、元気だして」と私はいい、水桶とサカキを持って立ち上がった。なんとなく少年が笑った気がして振り返ると、もうそこにはも誰もいなかった。墓参りをすませた帰り道、気になって少年が蹴っていた墓石を見た。確かそこにはに最近亡くなった方の名前があった。
○○○○ 10才