猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた。「くまのぬいぐるみ」

くまのぬいぐるみ
  
少年はいつもくまを抱いていた。おばあさまのお葬式があってお母さんはいった。
「くまさん、今日はお留守番ね」
少年は黙ってうなずいた。雨のお葬式だった。少年はこぶしを握り立っていた。
お家に帰ってきて、お母さんはくまに話かけた。
「今日はさびしかった?」
少年は答えた。
「くまはさびしくなんかないんだよ。考えなきゃいけないことがいーっぱいあるんだから」
お母さんは、ヘー、と腕組みをした。
「哲学者なのね。それで洞穴のくまは今日なにを考えていたのかな?」
少年は答えた。
「すべては無駄だってこと。無駄じゃ、無駄じゃ、と考えていたんだよ」
 
 
※ハイクのidページに投稿したもの。この話を書いたあとに作者は考えた。ここに登場する「くま=哲学者」は、もろに「ムーミン谷」のイメージだな、と。それで少し気になって検索してみたら、「ムーミン谷」にくまの哲学者なんて登場してなかった。洞穴にすみ難しい本を読んでいたのは「じゃこうねずみ」だ。

じゃこうねずみは川の土手のあなぐらに住んでいたが、パパが橋をつくったとき、巣の半分がこわれてしまう。どしゃぶりのま夜中、ムーミン屋敷をおとずれ、その後しばらくムーミン屋敷にお客として住みつく。自称哲学者で、ハンモックにねころび、ひとりしずかに本を読み、思索にふけることに幸福を感じる。愛読書は「すべてがむだであることについて」である。
『ムーミン谷の彗星』

──http://www.moomin.co.jp/data/knowledge_sa.html より