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猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

河のほとりに

戯れに谷山浩子の歌の中で一番の傑作はどれでしょう、という設問をたててみる。毛色の違う楽曲がいっぱいあって困るけど、傑作っていうか、代表作というか、もう個人的に、一番好きなのは「河のほとりに」かな。音楽的なことは分からないから、もっぱら歌詞からあれこれぼくは考えてしまう。季節は夏。この歌の中の語り手はきっと浴衣をきた女の子で、思いのひととゆるやかな河の流れを見ている。彼女の抱く恋愛の感情は淡い、恋に恋しているような儚いものかもしれない。彼女はそれを否定しようとして、「ずっと昔から知っていたような」とか言っているのだ。その方がずっとドラマチックだし──とぼくは想像する。
もしも彼女が確かに「ずっと昔から知っていた」その記憶もありますわよ、と明言するなら、それは前世の記憶。また別の歌になってしまう。「再会」だ。この歌も素晴らしいっていうか、やっぱり好きだ。けれども谷山浩子が面白いのは、こうした運命の恋を歌いながら、一方で「そっくり人形展覧会」みたいな歌も作っていることだろう。この愉快な歌では、運命の恋、というビジョンが奇麗にひっくり返されている気がして、とても可笑しい。