猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた「麗しきスクル・ジー」

麗しきスクル・ジー
 
スクル・ジーさんはたいした美人さんだった。いっぱい恋もした。修羅場も経験した。妬みもかった。スクル・ジーさんはすっかり疲れてしまい、家に閉じこもった。イブの夜、呼び鈴がなった。凍り付くような夜で、寒気もするしで外には出てたくなかった。けれど呼び鈴は執拗になり続けた。スクル・ジーさんは犬をつれて、玄関に出た。別れた男Aがいた。男は鉄の冊をつかみ、さながら鉄格子に閉じ込められた囚人のようだ。男Aは言った。
──「今晩わ。スクル・ジー。良い夜だね。ぼくの手紙は読んでくれたかい?」
スクル・ジーさんは首を横にふり、いいえ、と述べた。男はがっくりしたようだったが、なおも言った。
──「それは仕方ないことかもしれない。ぼくはずいぶん酷いことを言った。怪文書をばらまき君の名誉も傷つけた。ぼくは最低のヤツだった。けれど、今夜はイブだよ」
スクル・ジーさんは、ごめんなさい、けれど今夜は頭痛がするから、もう眠りたいと言った。けれど男はなおもスクル・ジーさんを引き止めるようにして言うのだった。
──「待って、待ってくれ、スクル・ジー、見てくれ、このぼくを、黒い服を着てる、ぼくは考えを変えた、神学生のように学んだのだ、ぼくは我慢強くなった、きみがぼくの教科書だ、ぼくは白くなれる、今夜はイブだよ、街には許しが溢れている、どうか、ぼくの謝罪も受け入れて」
スクル・ジーさんは十字を切りたくなるのを我慢して、もう一度、頭が痛いから、といって男に背を向けた。男は怒鳴った。
──「ふざけるな!スクル・ジー!この売女!おつにすましやがって!どうして、どうしてなんだ!」
スクル・ジーさんは、お隣の二階の窓の灯りがつき、カーテンが揺れるのを見た。スクル・ジーさんは振り返ると携帯を取り出し、警察に電話します、と述べた。男はすまない、と言った。
──「すまない、もう大声は出さない、ところで、そのテリアは番犬かい?ぼくにけしかけるための?」