猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

さくら2ぶんの1 (2)

春の公園。ひときわ沢山の花をつけた桜の木があった。あたりの木々に比較するなら、まだまだ小さくて、大木とも古木ともいえない桜だが、凄まじい勢いで花を咲かせていた。傷はすでに癒えているが、幹の半分は失われていた。桜は丸太で組まれた添え木によって支えられていて、まるで松葉杖をついた人のようにも見えた。
ぼくは知っているのだった。この桜は一度、雷に打たれたのだ。それで幹の半分がふっとんだ。雷が落ちたのは、たぶん一昨年の出来事だったろう。公園の管理人の人がきて丈夫な添え木をしてくれたおかげで、桜は根元から折れることはなかったが。それでも桜はかなりのショックを受けたのだろう。おれは、もう死ぬ。死ぬ前にやるべきことをやらなきゃ、と強く思うに至った。それで若い木には相応しくない厳めしい顔つきになり、沢山の花をつけているのだ。でも、ぼくは思う。分かるけど、実は結ばないかもしれないね。だって君、ソメイヨシノだし。
 
http://d.hatena.ne.jp/kanarihikokuma/20090516/p3 参照