猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話を考えた 「窓を開いて」

窓を開いて
  
ゲームの終わりは唐突に訪れた。急にイヤになってしまったのだった。どこまでも続くロールプレイングゲームに。ゲーム機をオフにしてコーラをごくり。ふぅ、と彼は息を吐いた。さて何をしようか、と思ったけど。何も思いつかなかった。なんとなく、そばにあった文庫に手をのばした。読みかけたまま、もう何ヶ月もそのままにしていた小説だった。しかし読めないのだった。文章が追えないというより、文字が読めなかった。目をこすり、あれぇ〜、と彼は思った。目を細めても腕を伸ばし本を遠くにしても、やっぱり文字はぼんやり滲んだまま。仕方がないので彼はソファに横になり、開いた本を顔の上に置きこう言った。
「そうだとも、なにも小説は読むためにばかりある訳じゃない」
その言葉は、まるで面白くもない冗談のように響いた。眼鏡屋さんに行くのは気のすすまいないことだった。彼は立ち上がり窓を開いた。屋根があって、緑があって、ビルがあって、空があった。「遠くを見るようにしなきゃね」