猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

エッシャー 「出会い」

そういえば。「出会い」というタイトルのエッシャーの作品があって、これがまた素晴らしい。まず一枚の絵があって、向かって左を向いている白い人と、右を向いている黒い人がタイル状に嵌め込まれるようにして平面を埋め尽くしている。当然、この絵も二次元で。この絵の中で白い人と黒い人は隣どうしピッタリと接しあっていても、握手することは絶対にあり得ない。すごく当たり前の話だ。っていうか。この平面上のあらゆる場所では、白黒ふたつのキャラがすれ違いをくり返しており、そのすれ違いが(少なくとも観念的には)どこまでも続いている。
が、エッシャーは白黒ふたつのキャラを徐々に──ということは連続的に──二次元世界から三次元へと移行させ、ついに白い人と黒い人の二人を握手させるのだ。作品では、はじめの平面世界は、画面の奥の方に置かれており、その前に丸く、くり抜かれた池みたいのがあって。白黒それぞれのキャラはその円周を回るようにして──そうやってそれぞれのキャラの向かっている向きを転換させ──画面の一番手前のところで、まさに出会うように描かれている。
平面世界での永遠のすれ違いと、三次元でのこの一回的な(?)出会いの対比は、れいによって寓意的だ。見る人によっては意味深な意味を読み取ってしまうだろう。そんな誘惑にかられるような絵で、ともかく面白い。エッシャーはこの平面世界からの脱出?という同じテーマで幾つかのバージョンの作品を制作いていると思うけど、ぼくは「出会い」が一番好きだ。