こんな話を考えた 街の木漏れ日
街の木漏れ日
決って夏、強い日差しが道に影を落とし、高い煙突のある工場の敷地は
とりわり緑がもこもこと茂り、風もないのにひんやりしている。
街は静かだ。道ゆく人は影のよう。いま、ぼくがいきなり拳をにぎり、
大声を張り上げても、この静寂は破れそうにない。
すれ違うひとに挨拶をした。コンニチハ。お元気そうで。
……死人にしては
とは言わなかった。そう、ぼく以外はみな死人。
でもそれは伝えない。彼らが気を悪くするといけないから。
街は静かだ。
去年も同じような話かいた気がする。だれにも繰り返し追いかけてしまうイメージってあるでしょう?とも思うから、まっ、いっか。