猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「とある抽象」

とある抽象
 
ひと昔まえ。海峡を渡るフェリーにひとりの男がのっていた。男は発明家だった。彼の頭の中は歯車がいっぱい詰まっていて、それらは世界とは関係なしに回っていた。男には妻がいて、彼女は赤ん坊を抱えていた。人生の安寧は諦めていたがお乳は豊かに膨らむので、まあまあ楽しくやっていた。赤ん坊はといえば、ただ泣いていた。何が気に入らないのか、天も裂けよばかりに泣いていた。そういう訳で三人は甲板に出て、それぞれの思いに沈んでいたのだった。
母親はおむつの交換することにすることにした。ときどき風が邪魔するので、油断のならない作業であった。見ると案の定だった。その様子を見るとはなしに見ていた男はいった。
「たいした人糞製造機だ」
女は一瞬、笑いかけたが笑ったら負けかな、とも思って知らん顔をした。

  
きのう、ハイクのh:keyword:超短編に投稿した話。一