猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「小人さん(黒)」

小人さん(黒)
  
 
友人Kの家には小人さんがいる、らしい。少なくともKはそう信じている。だが懐疑もあるようだ。
「なぜ小人さんは目撃されないんだろう。靴が磨かれていたり、書いていないはずの原稿が仕上がっていたり、洗濯物がたたんであったり、確かにありがたいんだけど。これらの仕事をこなすためには、ある程度の腕力と身長と体重が必要だとぼくは考える。小さく見積もっても、5センチほどの身長は必要だろう。それだけの大きさの小人さんが我が家を走り回っているなら、一度くらい目にとまっても良さそうなものじゃないか?」
私としてはよく分からない。とりあえず、おいしいお茶が出てくるなら、カップを磨いているのが眠ったKでも、小人さんでも文句はない。「ほんと、不思議だねぇ」
   
次の週のこと。れえによってお茶を飲んでいると、Kは言った。
「ようやく分かったよ。どうして小人さんが目撃されないか。どうやら小人さんは、黒装束を着ているようなんだ」──いったい何の話だ?と思ったことを告白しておこう。
「つまり忍者だよ。小さい上に、こうー、すばしっこくて、忍法まで使う。見つからないわけだよ。あっはっはっ」
私は頷いた。なるほど。小さな忍者じゃ仕方ないかな、と。