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ネタ探しという名の旅立ち(1)

ネタ探しという名の旅立ち(1)
  
バナナは物思いに耽っていた。庭では破れ芭蕉が風に吹かれ、空にはポッカリと月が浮かんでいた。十五夜の夜だった。バナナは詩情に誘われていた。けれど言葉にできない何かは言葉にはされぬまま、すっとバナナの手を逃れた。バナナは息を吐いた。それはポエマーのため息だった。ちょっとスランプ、とバナナは思った。
隣には団子を喰うスカイがいた。スカイは弟子である。凡庸だがときどき変なことを云う。バナナはスカイの戯れ言をひきとって、幾つかの傑作をものにしていた。なんか面白いことを云え、とバナナは思った。けれどスカイはしごく順調に団子を頬張りつづけ、喉に詰まらせるでもなく、胸を叩くでもなく、お茶を飲んだだけだった。スカイは師匠の視線に気づき咳払いをした。そして。では一句といい、以下のような詩を披露してくれた。
──「満月やみっつあったら三兄弟」 
バナナのタメ息は深い。