猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話をかいた

街へ出かけようとした僕の目の前に黒猫が現れた。のっそりと。とても太った黒猫だったのだ。目があった。こんなに大きな黒猫となると不吉も3倍増しだな、と思った僕はカニのように横歩きして、黒猫を避けた。こうして、僕が黒猫の進路を横切ったのだった。無問題。

「脳を分解しても魂なんてみつかりません。散切り頭を切開しても近代的自我なんて見つからないのと同じです」先生が自信満々に仰るので僕は居合いを披露することにした。「エイヤー!」先生の頭は割れたがなるほどそこに自我はなかった。「ほらみろ」という先生の声は僕の後から…

歴史は生々しい記憶ではない。それは激しい編集合戦の後にくる静かな何か、大多数の人々の無関心と接し合った枯れた何かだ。そうとでも考えねば、この事件の説明はつくまい。独裁者が植樹しただけに過ぎない、記念樹に対する人々のこの憎悪。

とある夕方。男は園芸店に寄った。そして一株の薔薇の苗と出会った。男は店員を呼び止め、その薔薇の事を色々きいた。けっこう丈夫な奴らしい。男はその薔薇を買う事にした。男は家に帰るとまず食事をとり、ビールを飲んだ。それから猫の額ほどの庭に出た。日はまだ沈んでいなかった。
男は薔薇の株を横に置き、ここだ、と思う場所をスコップで掘り返した。土に腐葉土と僅かばりの肥料を混ぜ込んだ。やがて男はしゃがみ込み、幾度となく土をならしたり握ったりしはじめた。土は程よく湿り気をおびフカフカで、なかなか良い感じだった。まだ日は沈んでいない。
男は部屋に戻ると冷蔵庫からもう一本ビールを取り出した。そうして薔薇の元に戻り、一口飲んだ。爪を見ると真っ黒だった。しかしビールを飲んで土いじりするのは最高だな、と思い夕日に向かってこう言った。「週末には植えるとしよう、晴れるといいなぁ」