こんな話をかいた
- 自慢ではないが、私の持つ器は小さい。ちょっとした傾きで器の水は波打ち、零さないようにするために。モーションは大きく、大袈裟なものになる。私は。なんで、水なんか運んでいるんだろう。
- 喧嘩をして夜が明けた。なんだか疲れた私は、お日様に向かって手を合わせた。ムカつく、みんな死ねばいいのに、死ねばいいのに、と念じていたが。いまお前の姿には仏があるぞ、なんぞと阿呆はぬかした。私の心など関係ないのだな。まっ、いっか、という気持ちになった。
- とても完全密室殺人事件。とても完全に密室なので中のようすは、じつは分かっていない。でも、きっと死んでると思う。
- 恋人たちはお互いに秘密の名前をつけあい、秘密の会話をする。二人だけの符牒を決め、暗号で話すこともある。多くの場合、解読は難しくない。だいたいは愛の確認、あるいはイエス・ノー枕に近いことだから。
- 秘密ばれたので、しばらく引きこもることにした。もう幼稚な連中ばっかり。石の棺桶に入り目をつむる。百年ばかり眠ろう。目を覚ましたら、きっと落書きがしてあるんだよ。「処女厨、ここに眠る」
- 私は語り手。面白い話をせねば首をはねられる。楽屋落ち下ネタ、何でもアリだ。ぶっちゃけ王さまも妻に裏切られた可哀想な男なのだ。話に困った私はそれもネタにする。時々、似た話を前にもしたよな、って思いに駆られるが目をつぶって話し続ける。最後は面の皮の厚さがものを言う。