猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

今にして思えば

今は昔の夏。映画館でアルバイトをしていて。少しだけ映写機も動かしたりもしたのだが。映写技師の方がとても、ずぼらな方で。彼の持ち場、映写室は凄く埃っぽかった。映画館はお掃除用品の会社とリース契約していて。毎月、決まった日に綺麗なモップが用意されるのだが。映写技師は掃除をするなんて、まるで考えていないようだった。
ある日。モップが交換される日がきて、リース会社の方が映写室に入った。たまたまにぼくも用事があって映写室に入ると、リース会社の方が物凄い勢いで掃除をしていたのだった。なんとなく目があい「あっ、どうも、ありがとうございます」とか言うと。彼女は、なんだかバツが悪そうにその場を去ったのだった。リース会社の方なのに、ついでに掃除までしてくれるなんて、なんていい人だろう、とぼくは思った。
でも。いまして思うとあれは。まっさらのモップを持ち帰っているのが分かると、そのうち映写室にはモップ必要ないじゃん、ってことになって。リースの契約がなくなるかも、って危機感からモップを汚していただけかもなぁ、と思い当たったのだった。