猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいてた!

夏。とおり雨のあと。小さな水たまりの上に、小さな雲がおきることがある。小さな雲は小さな渦を巻き、小さな嵐になる。愛好家たちは網で嵐を捕まえると、専用のコップの中に入れる。コップの中の嵐は、この地方の風物詩だ。
 
私は彼女が嫌い。嫌い、嫌い、嫌い。とび跳ねる嫌いを捕まえ、まな板にのせ三枚におろし塩をふり容器につめる。……「嫌い」……我ながら鮮やか手並みだが、「嫌い」は嫌いだ。これから、この「嫌い」を彼女にところに届ける。受け取りが拒否されると「嫌い」は市場にいく。
 
独身者がひとり、階段を登っていた。恋人のことを思っていた。一段のぼると結婚式で、また一段のぼると子犬が駆けまわっていた。息切れがした。次の段でお酒を飲み、次の次の段で離婚。のぼりきると屋上で、青空。ひとりの独身者は、ぽりぽりと頭をかいた。
 
密室で死体がみつかった。遺書もあった。探偵は少しがっかりしつつ、長い遺書を読んだ。遺書はすべて過去形で書かれていた。筆者が死んでることも、過去形だった。部屋の様子を眺めつつ探偵は思った。過去形が好きな人だったのだろう。
 
彼女の部屋で、お茶を待っていた。風が吹きカーテンが揺れていた。窓ぎわには花瓶があって百合が生けられていた。花瓶は硝子製で背が高く、百合も咲き誇っていた。つまり頭が重そうで、もし強い風が吹いたら。カーテンは百合を巻き込み倒れそうに見えた。吹かないかな、と思った。
 
私は狩人。ときに二兎を追う。二兎狩りはいい。二兎は番で、片方が危険を察知すると、もう片方もすぐ気づく。同時にやるしかないのだ。二兎の咆哮は激しく、狩人を硬直させる。厄介だが、耳栓で防げる。閃光玉を使えば一時的に視力を奪えるが、こちらも目がチカチカする。
 
うとうとすると、水の音が聞こえる。水は静かに流れている。たぶん洞窟の奥を。洞窟は暗い。耳の穴の中のように暗い。蛙が鳴くこともある。生殖を考えているのだ。ミミズクが滑空することもある。ごくまれにだが飴売りがきて、口上を述べたりもする。