猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

書いてた

七夕の夜。プラネタリウムで、彼女と待ち合わせをした。彼女はこなかった。べつに平気。ひとりでも星は見れる。しかし毎年、この日は雨が降る。


 
病弱な私に、姉は植木鉢を持ってきた。鉢植えの世話は面倒だが、姉はときどき来るので捨てることも出来ず、水やりをさぼれない。植物はすくすく育ち、ときどき牙をむいた。私は甲冑をきて、槍で武装した。そのうち火を吐きそうな気がする。元気になったじゃない、と姉。
 
うとうとすると、水の音が聞こえる。水は静かに流れている。たぶん洞窟の奥を。洞窟は暗い。耳の穴の中のように暗い。蛙が鳴くこともある。生殖を考えているのだ。ミミズクが滑空することもある。ごくまれにだが飴売りがきて、口上を述べたりもする。
 
頭の丸い者がふたり、丘の上にいた。ひとりの頭はツルツルで、ひとりの頭には毛が三本、はえていた。ひとりが言った。「風だ」
いまひとりも言った。「気づいていたさ、ぼくの頭の方が鋭敏なのだから」
微風を愛するふたりだった。
 
帽子をくるくる回しつつ探偵が言った。「探偵の夢の意味をご存知ですか。探求、猜疑。自分が探偵される夢なら、秘密の暴露への恐怖」肩をすくめる私に探偵は続けた。「愛情への不信。ならば信頼できる異性が必要だ」立ち止まった場所が偶然、花屋の前で。求婚されるのかと思った。
 
影の支配者は寡黙。集まった影たちを前にしても、身動きすらしない。影たちにも不平はあった。ゆるやかな身振りで、それとなく伝えようとしているかのようであったが。影の支配者が僅かに身を傾けると、ざわめきが波紋のように広がった。それでお開きだった。
 
傘をさし駅を目指し歩いていると、男が駆けてきた。水たまりを蹴りあげ真っ直ぐに。続いて犬が走ってきた。吐く息も白く、これまた真っ直ぐ。男は犬に追われていたのだろうか。それとも飼い主で、ただ戯れていたのか。通り過ぎた者を確かめる術などない。足、速すぎ!
 
冒険に出る夢をみた。気球の上で、殺人事件が起きた。容疑者は4人。雲の上で叫んだ。「これは密室だ!」まるで映画ようだった。トリックは単純だったが伏線もすべて回収されたし。傑作と言って良かろう。自分の無意識を褒めていると。「それは気のせい」と獏が言った。
 
猫ノ目湖は美しい。満月の夜は特別に。怖いくらい。静寂の中、恋人たちがボートを出す。墓所にも似た冷気が彼らを引き寄せるのだ。そして墓石のような水面で接吻をさせる。くすくす笑いが響く。たまに突風が吹き、ボートを揺らす。この風は猫ノ目湖の瞬き、と呼ばれている。