猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいた 

遠い親戚が死んで遠出をすることになった。黒い服をきて、駅に向かい、切符を買って、電車に乗り、窓の外を眺めた。電車は町を離れ、山の奥へと向かう。
トンネルを抜けると川が流れていて、可愛い鉄橋を渡った。小さな駅の前には斜面が迫っていて、家々の屋根が重なって見えた。蔓が暗い壁をよじ登り、ぽつぽつと赤い花が咲いている。

唐突に、いい所だな、涼しそうだし、住んでみたいかも、って思う。風景写真を見て、そんな想像に耽ることはあるが。いま電車を下りて不動産屋を探すことも、出来なくはないのだ。不動産屋さんは、どんな人だろう。
不動産屋さんの顔を思い浮かべる。彼と一緒に歩いて、日当たりの良い物件に向かうのだ。あそこに見える急な階段を上る。上手とはいえないピアノの音が聞こえる。ゴミの分別についての説明を受ける。不動産屋さんは、ご近所さん全員と顔見知りで挨拶に忙しい。
だんだんとイヤになってくる。想像されるすべてが息苦しい。

ベルがなって電車が動く。それで自分が葬儀に向かう途中だったことを思い出した。遠い親戚。いい方だった。