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ライオンになった夢をみた

元日。ライオンになった夢をみた。 
草原でうつらうつらしていると、棒の先に紐をぶら下げた狩人がやってきて、こう話かけてきた。
「都会に行ってみない?」
狩人は腰にさげた袋から干し肉をとりだすと私によこし、都市の話をいろいろ聞かせてくれた。硬いけど、なかなかうまい。狩人は言った。
「ビーフジャーキーっていうだぜ。都会にはたんとある!おお、香辛料の香り立つ都!」
丸太で組まれた四角い箱の中に入り、荷馬車で旅をした。大きな船にも乗った。沢山のひとびとが列をなし、太鼓にあわせてオールを漕ぐのだった。息もあわせて。ドン。わっせ。ドン。わっせ。愉快なひとびと。

都会には石の建物がいっぱいあって、所狭しとばかりに空を遮っていた。ひときわ高い柱。石の建造物の内部は暗い。その暗さの中に、ボードを持ったお役人がいて書類に目を落としていた。ライオン、1頭、チェック。彼は私を見て言った。
「ライオン、ライオン、百獣の王、闘技場には欠かせない。でも」
彼はそこで深いため息をつくのだった。
「年寄りでその牙も心許ない。予算も厳しいからね。仕方ないけど。……豹に虎に象にワニを10頭づつ、とりそえた昔もあった。でも今年はライオンが一頭だけ。それも年寄りの。帝国は傾きつつある」
なんだか同情してしまったけど。その哀れなひとに、こんな言われ方をされるのも心外で。複雑な気分になった。

夢の報告おわり。