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猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいた

短い話

大きな首切り役人

いまはむかし、首切り役人という職業があった。裁判で死刑!となったひとの首を大きな斧で落とす職業である。首切り役人は公職であったが、親が首切り役人だと子供も首切り役人になるのが常だった。首切りの一家は森の家に暮らし、俗世との交わりはほとんどなかった。

裁判所から首切り役人へのお知らせは鳩によって伝えられた。伝書鳩が持ってきた書面にはこう書いてあった。⚪︎月⚪︎日の夜明け、死刑の執行をします、くるべし、寝坊厳禁。

それを読むと首切り役人は伝統の仮面を被り、専用の斧を背負って、お城へと向かう。もちろん鳩も小脇に抱えていく。馬は使わない。

死刑執行の前日の夕暮れ、首切り役人はお城の北門に着く。衛士に裁判所からのお知らせを見せ、官吏に鳩を渡す。長い石段を降りて地下牢へ。

死刑の宣告を受けた囚人は鎖で繋がれている。灯りをともし囚人の前に立つと。首切り役人は斧を突き出して見せる。斧の歯にはこう刻印されている。
「暴れるな 我は汝を天国へと連れ去る」
そうしてより苦痛の少ない、上手な首の落とされかたをレクチャーする。囚人の反応は色々。ただ斧の文言について教会はいい顔をしていない。

朝。無事に首を落とし終え首切り役人が家に帰ると、子供が薪を割っている。こうして斧に慣れるのだ。12になると彼にも仮面が与えられる。大きな首切り役人と小さな首切り役人が仲良く並んで歩く日を思い浮かべ、首切り役人は微笑む。ほんとうに微かな笑み。