猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話かいた

 むかし近所に、白い煙突が立っていた。煙突は高い壁に囲まれ、先端は少し尖っていた。煙突は真新しく、煙なんか出さなかった。ただ青空に向かって白く伸びていた。ぼくは子供で。何の工場だろう、って疑問も抱いてはいなかった。

 そんな夏の夕暮れ。サイレンが鳴り響き、二階の窓からぼくは見た。地響きがして轟音がなり爆煙と共に、煙突が飛び立つのを。白煙の柱を築くようにして煙突は、黄昏の空に昇っていった。

 西の空に僅かに残っていた紅が消えると群青色の静寂で。高い壁はひたすらに暗かった。何もかも嘘のようだったけど。星が瞬くばかりで、見慣れた煙突のシルエットはもうないのだった。