読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいた

 
夜、駅前のコンビニに向かって歩いていた。雨あがりで信号が路面に映っていた。見ると向こうから一人の女が歩いてきた。黒髪の長い女だったが、俯いている。30メートルは離れていたと思うのだが、彼女の顔だけが妙に明るいのだった。面の白い女が近づいてくる。彼女とすれ違った。歩きスマホは危ないよ、って思った。
 
 
木陰のベンチに座ると蝉が煩いくらいに鳴いていた。私の手は恋愛の真髄を掴んでいた。恋愛もまた私を掴み返している。長年、続けた攻究の成果だった。蝉たちにもそれを伝えたかった。が、やはり聞いてはもらえない気がした。連中も忙しそうだし。
 
姉と二人、夜の公園を歩いた。外灯に映える緑。「蝉が鳴いてるね」「へえ、聞こえるんだ」と姉。「だって鳴いてるじゃん」「夜に鳴く蝉はいない」「でも鳴いてるよ」「生きてる蝉は夜には鳴かないんだ、姉ちゃんには聞こえない」私は頭にくる。また姉の出任せだ。決まってる。でも怖いのだ。