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猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいた

短い話

 
ドアの前で蝉が倒れていたので介抱してやった。砂糖水を飲んで一服。蝉は頭を下げた。「助かりました、ぜひお礼にしたいのですが、私には切要な使命があるです、ままならぬかもしれません」とのことだった。蝉は飛び立った。 切要な使命って、交尾のことだと思う。
 
姉と二人、夜の公園を歩いた。外灯に映える緑。蝉が鳴いていた。「へえ、聞こえるだ」と姉。「だって鳴いてるじゃん」「夜に鳴く蝉はいない」「でも鳴いてるよ」「夜になくのは蝉の幽霊だけ、姉ちゃんには聞こえない」また姉の出任せだ。決まってる。でも怖いのだった。
 
失恋をして夏山にきた。一人になりたかったのだが。一匹の蝉がきて煩いのだった。…元気をだせ、女は星の数ほどもいるのだろう、次だ、次。…蝉の考えである。恋愛において一番大切なのは時間を守ることだ、と蝉は断言した。…私の場合、一年寝過ごした。13年ゼミなのにさ…
 
オス蝉はオス島に生まれた。メスはメス島にいるのだった。島の間には海鳥がいて蝉が好物だった。ゆえにオス蝉たちは協力して船を作り、みーみと声を合わせオールを漕いだ。メス島に近づくとそれぞれに飛び立つ。このタイミングが難しい。焦って離脱が早すぎると、海鳥の餌なのだ。
 
蝉が人を殺した。特異な事件であった。記者達は蝉の部屋に踏み込むと早速、本棚を見た。一組の百科事典があった。百科事典は真新しく、セールスマンに無理やり買わされたか、飾っているだけのように見えた。記者達は百科事典を無視した。彼らが探しているものではなかったのだ。