猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話かいた

 
夕暮れ。モールの屋上に、河童が倒れていた。買い物袋から缶ビールを取り出し、河童の頭にかけた。聞けば皿に星を映しに来たのだという。皿に星を映すと?風邪をひかないそうだ。へえ。手にしてた缶ビールはまだ半分、残ってて。つい飲んでしまった。あ。仕方なく、歩いて帰った。
 
お盆。我が家では盆栽を飾る。少し変わったアコウの盆栽で。元はタブの木が仕立ててあったらしい。これに若いアコウと苔を紐で結び気根を降ろさせ、アコウは徐々にタブの木に覆い、この締め殺し木の盆栽は出来たらしい。祖父の形見なのだが。捨てることも出来ず。霧吹きの毎日。
 
ぼくは船長。百匹の河童を相撲で負かすと、全員にオールを持たせ、ガレー船で漕ぎ出した。太鼓を叩き、えーほ、えーほ。海水の苦手な河童たちは良く働き、海賊稼業は大繁盛した。黒い髑髏の旗のもと。我らは最強だった。新鮮な胡瓜がある限りにおいて。
 
「ハンバーガーひとつ、オニオン、ピクルス多めで」と僕は言った。店員さんはチッと舌打ちをした。僕は気にしない。「フライドポテトSひとつ、ケチャップをつけて下さい」店員さんは天を仰いだ。仮にこの世の終わりでも注文の途中だ。「あとコーラのSと、スマイルをお願いします」
 
「だが許してやる」と女は言った。知らない人だった。「忘れている、だがその忘却も許してやる」私は駆け出した。「逃げるのか、だが許してやる」気づくと石段を登っていて社が見えた。腕を掴まれた。私は屋上に立っていた。警備員が言った。「死にたいのですか……許してやる」
 
公園のベンチに。パンダと獏が並んで座っていた。「最近、どう?なんか面白いことあった」「さあ、どうかな」パンダの悪夢も獏は食べていた。それは牢に閉じ込められ、エロチックなビデオを延々と見せられる、という夢だった。獏は夢の話をしない。守秘義務ってやつだ。
 
水浴びをして、瓶ビールを飲んだ。日陰に吊るしたハンモックに飛び乗って速攻、寝た。夢の中で。風をたより砂漠を渡り、水の剣で燃える獣を倒した。汗をかいて目を覚ますと、もう夕暮れだった。納得できないのだが。また熱帯夜なのだった。