猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

中央食堂の絵画
 
中央食堂の絵画を語る学生は多い。百年前に焼失した名画で黄昏時などに目撃される、と言われているが。証言は曖昧である。壁に絵画の存在を認めはしても改めて見返すとそれはなく、そもそも何が描かれていた絵なのかも分からない。
 
最近、知った事だが。中央食堂で火事が起きたという記録はないらしい。ただ八十二年前に改装工事があり、壁の一面を飾っていた絵画が解体屋さんに破棄された事はあるらしい。半年ほどたって問題になり責任者は糾弾された。遅ればせながら。喪失した絵画について喪を執り行いましょう、と論じる先生も現れたらしい。
実は歴史的にも価値のある作でありました。改めてその価値を確認し顕彰せねばなりますまい。不幸にも我々は作品を失いました。永遠に。このような蛮行が繰り返されないよう粗忽者共にも、とくと理解してもらわねば。そのための喪です。黒い服を着て失われた芸術を惜しみましょう。教訓となすのです。ホウレン草に力こぶ。
ともあれ。幻の絵は、ただ中央食堂の絵画と呼ばれている。