猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

善意の小人さん
 
鉢植えのアロエの植え替えをした。アロエは好きだ。約二年、水遣りも何もしていないのに生き残っている。乾燥も栄養不足も無関心もアロエを枯らしはしない。アロエを枯らすのはアロエ自身だ。生き残ったアロエは爆発したかのように生い茂り、鉢の下からは新天地を求める根がエイリアンの足のように伸びていた。自らを閉じ込めてもいる鉢を割らんばかりの勢いで、アロエアロエ自身の強靭さに窒息して枯れるのだ。
で。二年ぶりにアロエの植え替えをした。青いところを九割ほど刈り込み、赤玉土にボラ土を入れて。水はけだけは良くした。これでまたアロエは生き残るだろう。あと三年ほどはつつがなく。
 
異変に気付いたのは三日ほどしてだった。アロエの鉢植えがこんもりとしてる。いちおうは二センチほど、ウォータースペースを空けていたのに。鉢の縁いっぱいに砂が盛られていた。見ると僅かに青みを帯びた砂で、路肩に溜まった砂を持ってきたものらしかった。意味が分からなかった。通りがかりの人が嫌がらせをするにしても、こんなピンポイントの嫌がらせをするだろうか。子供の悪戯かもしれない。子供は時々、意味の分からない事をするものだ。そんな事を思いつつ、砂を取り除き。また、いちおうウォータースペースを空けたのだが。
翌日には、また砂が盛られていたのだった。試しに如雨露で水やりをすると、水はすっと抜け水捌けにも問題はないのだが。なんだか釈然としない。そんな事が五回も繰り返され、私の方が根負けした。もともと、ほっておくつもりだったし。
きっと、この鉢植えには土が足りないと思った小人さんの仕業だったのだ。