猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

桜は巨大な菌類である
 
猫と私は同じ空間を共にすることは出来ない。猫が私を退けるか、私が猫を排除するか。二つに一つである。夜になると我が家の庭を横切っていく野良猫の話だ。なぜ猫は落し物をしていくのだろう。毎日のようにそれを拾っていると。そんな考えに憑かれるのだった。猫と私は花壇というひとつの場所をめぐって闘争している。ふかふかの乾いた黒土が好きなのだ。
私が猫への悪態を述べると、決まってこう言う人がいる。……なんで。猫、可愛いじゃん。おしっこもウンコも肥料になると思えば……私は長椅子に横になる。腹をたてないように。深呼吸が必要だ。花を植えよう、と考える。棘のある花がいい。 
肥料にしたかったら、それなりの手間をかけねばならない。風通しの良い場所で良い微生物の力をかり、時間をおき熟成させるとか、いろいろ。直の落し物は植物の根をいためつけ枯らす。当たり前ではないか。当たり前ではないのか。
 
そういえば。高貴な芳香で旅人を誘き寄せては眠らせ、横たわった旅人の体から直接に養分を吸い取り咲く花の話を読んだ。猫の落し物もだが旅人の屍体もまた植物の根をいためるだろう。屍体の分解にも分業があって、まず鳥がきて、狼がきて、小さな虫がやってきて、という順序があると思うのだ。木の根元に旅人の遺体を埋めても、たぶんその木は枯れるだろう。ああ。植物ではなくて菌類なのかも。あるいは腐敗の速度に負けないくらい過剰な養分に適応した独特な生体圏の広がり。そういうものなのかも。桜の季節になったら、より詳しく話したい。来年の四月一日に。