猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

獏のお腹はパンパンだった。少女の夢は食べても食べても、生えてきた。赤い夢。青い夢。黒い夢。きりがなかった。ついに破裂する時がきた。乾いた音。白煙、もくもく。煙は王子の姿となり、少女を空へと連れ去った。獏はといえば、破裂した勢いで世界一周。
 
 
冬の朝。
メイドさんが手を滑らせ、古い壺を落として割った。斜めに差し込む光の中に散らばった破片を、主人は呆然と見下ろした。壺の中の桃源郷で迷ったことを、思い出していたのだった。しばらくして彼はメイドさんに笑った。今朝が壊れる時だったのだろう。
 
 
鏡は自惚れが強く、一番きれいなのは自分だと思っていたから。女王の問いかけは苦痛だった。けれど叩き壊されては叶わないし、彼女が喜ぶような答えをしていた。
「はい。世界で一番、美しいのは貴方さまです」
女王が部屋から立ち去ったのち、鏡はいつもこう付け加えていた。
「私をのぞけば」
 
 
ひとつだけ願いを叶えよう、って悪魔は言った。では私を愛してくれ。と私は答えた。困惑した悪魔の表情が愉快だったが。それも彼女の目が丸くなり、顔が三角に変化するまでだった。もしかして蟷螂がカマを持ち上げるのも愛ゆえ?
 
 
「いい歯並びのワニさん、これが証拠です」
小さな探偵は歯型のついたホールケーキを指差した。追いつめられた、いい歯並びのワニは大口を開けると、ケーキをぱくり。小さな探偵は言った。
「すべてお見通しだ。ケーキには小さな助手を潜ませておきました。助手には針を持たせています」