猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

買い物から帰ってきたら、家がなかった。辺りを見回しても、やはりなくて。盗まれた、と思った。てくてく歩き交番に行くと。お巡りさんはのんびりしたもので書類を作るでもなく、まず鍵屋に行きなさい、鍵はお持ちですか?と言われた。ポケットから家の鍵をとりだして見せ、どこの鍵屋に行けば良いでしょう、と尋ねた。お巡りさんは咳払いをして、引き出しから一枚のリストを取り出した。この中からご自分で選んでください、特定の業者を紹介することはしません、との事だった。
中央通りを引き返し、駅の中の鍵屋に入った。家が盗まれたのですが、これが家の鍵です、と相談すると。鍵屋さんは手渡された鍵を検めつつ、料金表を示した。安くはないお値段だった。出張費こみです、一週間ほどかかるかもしれません、と言われた。それから家の特徴を尋ね、私が答えに言い淀むたび、鍵屋さんは嫌な顔をした。盗まれたと貴方は云うが、ふつう家は盗まれません、とまるで私が悪いかのようだった。
途方にくれて家のあった場所に引き返すと、一匹の犬が前足で石を持ち上げ、地面に杭を打っていた。何をしているのですか、と尋ねると。ロープを張り地鎮祭をするのです、小屋を建てるにせよ、大切ですからね、と答えた。
ここは私の我が家があった場所です、これが鍵です、と云ったら。犬は石を地面を置き、何も言わずに走り去った。遠ざかる四本足の後ろ姿を眺めていると、さっきまで二本足で立ち話していた事が嘘のようだった。
 
 
 
凡庸な魔術師である私は、ピンクが好きだ。ほおにさす薄い薔薇色は、その下に健康な血潮を隠しているのだろう。女の首筋に牙をたて、流れだす真紅が好きって方もいれば。血の気も失せた屍体の紫を愛でる方もいれば。白骨の白に生涯を賭ける方もいる。色の世界も深い。