猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんなお話を考えた 「寓話 狼と羊と作家」

せせらぎで子羊が水を飲んでおりました。それを狼が見つけ理由をつけて食べてやろうって思いました。狼はいいました。
「おい、羊、おまえが流れを汚すから俺は水も飲めない、いったいどうしてくれるってんだ?」
子羊は答えました。
「しかし狼さん、わたしがいるのは貴方の下流ですよ」
狼は、しまった、と思いましたがもう後にはひけません。
「そんなことはどうでもいい、おまえは去年、おれの親父の名誉を傷つけた」
子羊は答えました。
「えー、わたしは去年、まだ産まれてもいません」
狼はまたまた、しまった、と思いましたがなおさら後にはひけません。
「まったく、へらず口の多い子羊め、おまえは黙って俺に食われれば良いのだ」
このように乱暴者に道理を尽くしても詮無きこと、っていう場合も多いものですよ。

作家がこのようにタイプしてお話をまとめると、窓から狼が覗いておりました。狼はいいました。
「あのさ。狼は羊を食べるのに理由なんか探さないと思うよ。ぼくは確信をもってこう云うのだけれど。そんなことを考えるのは人間だけさ」
狼はそういう云うと、風のように去ってゆきました。

ゆうべ、寝る前にハイクに投稿した話。「イソップ寓話」を下敷きに使ったけど、ぼくは気にいっている。「乱暴者」はお話を都合よくまとめてしまう「作家」の方だ、と考えていた訳でもないけど、そんな風にも読めるし、なにより一度おわったお話を卓袱台かえしするような「狼」が書いていて楽しかった。