猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話をかいた

  • タンスから出てきた黒い魔物に姉がさらわれた。続いて白い魔物が現れ「一緒にきて」って誘われる。旅立つのは姉を救うためだが。タンスの中にジャンプするとき、こう思った。愉快な魔物たちと、ぼくは闘うだろう。長い旅になる。そして再会するまで。きっと姉のことを忘れてる。
  • 球場ひとつ分ほどの芝の敷地に、強化コンクリート製のお墓が一基。壁ように建っている。鬼軍曹と呼ばれたコーチの墓で隅のプレートには小さく、こう刻まれている。「我が屍をこえてゆけ!」
  • 水族館に行った。エイが滑空し、小魚が群れで泳いでいた。まるで海の断面図だ。モーゼが海を割った時も、こんな眺めが見えたのかな。でも、もの凄い水しぶきで魚なんて見えなかったかも、って考えた。静かな水族館を歩く方が、ぼくは好きかも。
  • セバスチャンは究極執事。誰が配合したのか邪悪な存在だ。セバスチャンが仕えた主はみな死んだ。偶然の不幸のせいでなく、自らの欲望が永劫回帰的に暴走し、蛾が火に飛び込むようにして死ぬ。セバスチャン曰く。「主で在ることは難しい事でございますな」
  • ロボットは軽く世紀を跨いでいった。百年という区切りにどんな意味があるのか、よく分からなかったが。星座さえ形を変えていくなか。毎年12月24日には、夜空を見上げた。
  • 硝子コップの中に男と女がいて二人の上には、もくもくと黒雲が湧いている。背を向けていた男が口を開く。それはこれまでの沈黙を台無しにするような一言で、女から火花が飛び散る。女が怒鳴り出し、風雨を呼ぶ。黒髪の旗に閃光。何を言っているのか、もう分からない。
  • 日没に起きて明りを灯し、お茶を入れるのが日課。もっぱら台所で、影と話す暮らしだ。先日、霊の存在を信じない霊の話になって、なぜか影は大喜び。「それで、もし消せるなら私を消すの?」って言う。ふ、ふ、ふん、だ。霊の原因は淋しさかもしれないね、って思った。
  • 曇った空の下。竜を見た。池から出た竜も空中でとまり、私を睨んだが。すぐに興味を失ったか、天へ駆け上ろうとした。雲の中へ頭から突っ込む竜の尻尾を、私は掴んだ。渦巻く雲が低く、天上がやけに近い。空の上に空が広がって見えた。
  • Kは言いかけてやめる。「気になるから最後まで言えよ」と催促して聞くと、案の定つまらない。「だから言いたくなかったのに」とKはふくれっ面。「いいかけてやめる方が悪い」と言うと。「悪というかね、悪というなら六月……」って、また途中でやめる。気にしないようにしたい。