猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話をかいた

 
箱庭のお城を作った。端切れの森にボタンの堀、空き箱の城壁、髪留めの跳ね橋。扉に飾って、お城を見下ろした。何か足りない。怪獣を縫い付けて、よしとした。呼び鈴がなり扉を開くと、審問官が立っていた。同行することになり、扉を閉めた。箱庭が落ちる音。世界崩壊って思った。
 
椅子に座って、くるくると回り。立ち上げって唇に指をあて、それを高く空へと掲げる。昔からの作法だ。そうして水筒を持ち家を出る。秋探しの旅は、けっこう暑い。
 
夏の終わり。村の若者は皆がみな、肩こりになる。日が落ちると首が落ち、胴から離れて夜空を飛び回る。首たちは、よく唇を寄せ合う。接吻のように見えるが、そうやって由ないお喋りをしているだけだ。朝がくると床に帰り、おおよそ忘れてしまうが。疲労は残っている。
 
星屑に衝突して船は漂流。生命活動を最小にし私は通信に集中したが。救助要請に対する反応は鈍く、奇妙な質問ばかりが返ってきた。犬と猫ではどちらが好きですか?遭難した猫の映画がありましたね?猫の料理人を雇いたいですか?私はAIか外部記憶の残像か、確かに疑わしかった。
 
悪魔はタクシーに乗らない。長年の研究により得た智見である。本にも書いた。だが運転手は違う考えだった。素人丸出し反論。車を止めた議論はボクシン グになり鼻血が流れた。運転手は言った。言うに事欠いて「悪魔め」と。首を絞めた。だから、悪魔はタクシーに乗らないつーの!
 
腕の人面瘡が言った。俺は呪いにより此処に来た、呪いは清らかな接吻によってのみ解かれる。甘く香る人面瘡の口元に、女は焼けたコテを押し当てた。タフな二人だった。女は流水で火傷の手当てをした。水に浸され蛙のように見える傷に、彼女は言った。嘘だけは、イヤなの。
 
渦を巻く時間流の私は中にいる。三百年ほどの時間を繰り返し、何かを学ぶ必要があるらしい。腕には浮き輪の刺青がある。流刑中って意味だ。