猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

本の雨

朝。起きて階段を降りると、窓際にKが立っていた。
Kの視線を追うように外をみると、
鳥めいた影がバサバサと降っていた。
降っていたのは本だった。
黒い本は音をたて地面に落ちるとバラバラになり、
紙片の流れとなり下水溝へと落ちていた。
本が落ちてくる上空を声もなくKは睨んでいたが。
私がドアノブに手をかけるとキッと振り向き言った。「やめろ」
「外に出てページを拾い、興味本位から読むのはやめろ」
私はドアノブから手をはなし、Kの顔を見た。
Kは視線をそらすように、また空を見上げ始めた。
窓際に立ち真剣な表情で空を仰ぐKを見るのは、
初めてって訳ではなかった。
正直、またかよ、という気分だった。
降っているのはKが書いた黒い歴史の書で、
Kは自分でもこの雨を止めることが出来ないのだ。