猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

犬の王様に呼び出され、料理をすることになった。王様の尻尾は垂れている。はい、と手渡されたのは一本のスコップと長靴だった。曇り空の下。王様の料理は、庭に埋められた骨を掘り出すところから始まる。
 
 
恋文を書いたら怒られた。言葉じゃなく行動で示せよ、私と付き合いたいと思うならな、と。恋文は誰かとつき合いたいという用事があって書かれ、その用事が済んだら不要になる。良い恋文を書こうと工夫をこらし、恋文のための恋文に邁進するなどは倒錯である。そんな内容の長い返事を受け取って、いい人だな、と思った。
 
 
文学と薔薇の育て方は似ている。どちらの話も彼女の耳に可なのだ。恋の話だけは不可である。好きとか嫌いとか、綺麗だとか愛しているとか、間違っても言ってはいけない。そわそわした彼女が部屋を出て行ってしまうから。文学か薔薇、あるいは竜の卵を使ったオムレツに命をかけた騎士の話でも良い。
 
  
枯井戸に叫んだ。「みんな死ねばいいのにぃぃぃぃぃ」
返事があった。「声が小さい」
井戸の奥を覗くと、石積みの向こうに暗闇だった。きっと、なにかの霊なのだろう。私の声は小さい。幽霊くらい。がっくり。星々の深さを見上げた。