猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

探偵は仕事を断った。人が死んでいたからである。探偵は言った。
「殺人事件はいけない、一度、解決したが運の尽き、探偵の身の回りで殺しが始まるのさ、日常的に、息もつかせず、解決を待つ屍体の山さ、名探偵の呪いと師匠は呼んでた」
 
天使は飛ばない。天使を目撃するとき、人は同時に空の深さを見上げる。やんごとなき方の御使いは、ふんわりと宙に浮かび、舞い降りてくるが。飛んでいるのではない。光の波の間を泳ぎ、浮かんでいるのだ。
 
嵐の過ぎた朝。蔦の絡まるお屋敷で魔法瓶のお茶をコップに注ぎ、透明人間とお喋りをした。透明人間はいい奴なのだが何が気にいらないのか、すぐに怒る。だが彼の拳は宙をきる。興奮すると存在までが希薄化するみたい。
 
※※審問官はカップルを憎む。物語の終わりを告げるゆえに。幸福な二人組に寛容ではない。知恵ある二人組はお互いに秘密の名前をつける。動物や食べ物であることが多い。そうして符丁を使って会話をする。二人だけの暗号が楽しいのだ。多くの場合、解読は難しくない。「愛している」「私も」の繰り返しである。
 
一風変わったマイルールに従って、町を歩き回っている人がいる。聞けば、もはや脅迫的な観念に追われており、徘徊する事をやめられないらしい。心のお医者さまがいて辛抱強く彼の放浪につきあう。次の角を右、次は左、傍目にはひっちゃかめっちゃだけど、そこには一定の規則性がある。
ところで心のお医者さまは電車の時刻表が読めず一人では旅行もできない人で、駅に近づくたびに冷や汗をかいている。そうやって心のお医者も頑張ってるのだ。強迫観念に追われてる人の規則性。それを知ったところで何の意味もないだろう、とは思いつつ。
彼らの道行は一年にも及ぶ。同じ町をぐるぐる。突然、正しい道順を見つけた、今度こそ間違いない、と脅迫観念に追われてる人がいい、心のお医者さまも後に続く。曲がった角に光芒、翼のある者が降臨してくるのを彼らは見上げる。問題の道順は、何かを呼び出す魔法陣だったのだ!
 
ずっと蝉が鳴いている。冷たい水を飲んでも。ぼんやりして、いろいろ区別がつかない。秋の風が吹いて月を眺めても、まだ続いていたら。ああ、耳鳴りか、と確信を持てるかも。
 
バスにのっていたら、屋上が緑でいっぱいのビルがあった。三階建の建物だったが、かなり高い木も茂っていてジャングル。凄いなって思った。でも、あたりは広々とした郊外で。実際、駐車場も広くて。駐車場の一部に木を植えてた方が手間なしな気もした。屋上緑化の会社だったのかもしれない。