猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

山の中。斜めに張られた天幕の下で、鉈を手にマキを割っていた。小雨が降っていて、犬は頭を垂れいる。炎は水蒸気を含み煙ってる。炎の上には釜があって、小さな五右衛門風呂のようだ。草の茂みから、にょろにょろしたものがやってくる。
にょろにょろはタコで会釈すると、八本うちの一本を細くして湯加減をみる。ざぶりと湯に浸かる。お湯が溢れて私は、しかめっ面になるが。またマキに鉈の刃を振り下ろす。平たい台座の上に、とんとんと打ち付けるうちにマキは割れる。
「大した腕前ですね、斧名人だ」とタコがいう。
意味が分からない。鉈で、とんとんして何が斧名人なのだ。何を言ってるのだ、と思う。斧をふるって柄を折った事を思い出し、なお不機嫌になる。「いやまあ、精が出ますな」とタコ。湯を堪能したらしいタコは少しだけ赤くなり茂みの中に帰っていった。「ごちそうさまでした」

一人になって。ああ、タコは世間話をしようとしていたのだな、と思い至った。それで目にしてるものを褒めたのだ。褒められたら嬉しいものだろうから。でも私は不機嫌になった。変わった奴だ、と思われた事だろう。風向きがかわって煙が顔にかかり、また不機嫌になった。