猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「A→a」

A→a
  
誰に言われるまでもなく私は短気だ。些細なことが我慢ならず、他人にも厳しいことばかり言っている。嫌われても仕方ないと自覚はしているが、そうそう簡単には直せないのが性格というもの。最近はAに口やかましく言っている。それも一方的に。少しは反発してくれるとこちらとしても調子が出るのだが。Aは内にこもるタイプのやつで、その様子がさらに気に入らず、ついガミガミ言ってしまう。こうした役割分担は固定化しがちで、Aはどんどんシュンとなり、小さくなってしまう。相対的に私は大きくなり、われらの関係もさらに単純なものになる。声の大きな私と小さなA。たまに私が行っているのは単なるイジメなのではないのか、と感じられ自己嫌悪に至ることもある。が。私の先輩方は私ほど優しくはなかったぞ、という記憶が蘇り、仮にこれでAがダメになるならそれも仕方がない。早々におひきとりしてもらった方がAのためだ、という合理化もしてきた。そんな矢先、なんだか小さいヤツが私の前にきて挨拶をした。よーく耳をすますと、その声は聞こえた。
「どうもaです、おくれてすみません」
彼女はすぐそばにいるのに、その声は遥か遠くの国、たぶん小さな妖精の国かどこかから、届いてくるようだった。ともあれAが小さくなってaになった。私はその事実を受け入れざろう得なかった。私はそっとaを捕まえポケットに入れると、早退を告げてaを部屋に持ち帰えることにした。
aをドールハウスに閉じ込め考えた。どうやってaをAに戻すか。たぶんAはプレッシャーに圧縮されてaになった。私というプレッシャーが原因だ。なら、その逆を行えば良いのではないか。これからは、どんどんaを誉めよう。aが自信を深め、思い上がり、文字通りに増長するまで。お茶を入れた。愛用のカップと、苺柄の可愛いミニチュアのティーカップに。