2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
風もない春の午後。桜の下をパンダが歩いていると、はらはらと舞う花びらが頭の上に落ちてきた。次の花びらも、次の花びらも、パンダの頭の上にのった。その様子は訓練された落下傘部隊さながら。花びらたちはパンダの頭の上が好きなようだった。
眼鏡拭く午後や蛙の目借り時
紙の皿かぜでとんでく花見かな
失恋をしても、お茶は飲む。手にしたドーナツをまじまじと見て、パクリと食べた。ふと思う。ドーナツの穴はどこにいったのか?……虚空……失くした恋のモニュメントはそこかしこに満ち溢れ、ぼくの胸でもぽっかりと口を開けているのだ。あーあ。なんだか痛い。 …
花吹雪お握りふたつのベンチかな
夢は灰色の余白。かつてはあったのかもしれない、なめらかな白の上に描かれては消されをくり返し、たわんで滲んだ薄い汚れ。光の下でも現れる、空の歪み。何度となく打ち消されつつ浮かび上がる、午後の亡霊なのだ。 病院に行って、しばらく待合室で時間をつ…
春眠暁を覚えず、っていうけど。暁って日の出まえじゃん。 春じゃなくても、見てないよ。
春分やぬくぬく靴下ぬいでいく
山鳥と桜見上げて躓いた 切り株によいしょと座る老婆かな 偏頭痛ゆびで押さえた落椿