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こんな話を考えた 「雪だるま赤の0001号」

雪だるま赤の0001号
 
風の強い日、雪が降った。というより、風に飛ばされてきた。それはこの土地では、とても珍しいこと。青空に舞う白を見上げ、かれはかなり興奮しているようだった。次の日の朝。庭のすみに隠れるようにして残っていた雪をかき集め、生まれてはじめてかれは小さな雪だるまをつくった。小さな手を冷たくして、目には南天の実を入れた。はじめて作った赤い目の雪だるまなので、赤の0001号、と呼ぶことにかれはした。赤の0001号を日にかざし、ふふふ、とかれは笑った。気分はまるでマッドサイエンティスト。それを冷蔵庫に入れドアをしめるとき、プシュー、とかれは言った。
お母さんが帰ってきた。母は見た。冷蔵庫の前に取り出されたままの冷凍食品の山を。冷凍庫を開くと、白くて丸いやつがいた。赤い目と目があった。母は腕組みをした。とりあえずその日の夕食には冷凍エビフライや冷凍シューマイが皿に山と積まれることとなった。
眠るまえ。母親は息子と「赤の0001号」の処遇について協議した。母のいいぶんは、暗い所にひとりでいるのは気の毒だ、ということだった。それに対するかれの反論は、「赤の0001号」はいま睡眠中なので、淋しくなんかない、そして「赤の0001号」にも夏の景色を見るチャンスがあっていいはず、ということだった。それじゃ、夏になったら「赤の0001号」を庭にかえす気なの?と尋ねると、冷凍睡眠航法だ、とかれは答えた。
母は冷凍庫のすみに「赤の0001号」のスペースをつくった。そして夏まで、おぼえておいてくれるといいんだけど、と考えた。

 
たぶん、この話は ハンス・フィッシャーケーゼンHans Fischerkoesenという方が制作した『スノーマン』Der Schneemann (1943)というアニメを参考にして書かれた。たぶん、というのは、ちょっと記憶が曖昧で、ハンス・フィッシャーケーゼン、といった固有名詞に馴染みがある訳でもなくて、はやい話、自分の記憶に自信がなく、あれこれ検索し、youtubeで、やっとその映像をみつけて、やはりこのアニメだ、といま確認したような次第だからだ。この「スノーマン」は本当に素晴らしい。時代的な背景を知ると胸にグッとくるようなものものもあるしね。

参照
・Der Schneemann The Snowman
http://www.youtube.com/watch?v=T39J6RL1kXA
 
dmm.com 「7月の雪だるま」
http://www.dmm.com/digital/anime/-/detail/=/cid=5123holly1054/
 
・GON'S ANIMATION LIMBO
カートゥーン:アニメーション100年史Cartoons: Cento anni di cinema d'animazione
ジャンナルベルト・ベンダッツィ Giannalberto Bendazzi第7章 ヨーロッパ
http://homepage1.nifty.com/gon2/cartoon/cartoon07.html