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こんな話を考えた 「金縛り─タテ」

「金縛り─タテ」
 
疲労困憊した夜。胸元に重苦しい圧迫を感じて目を覚ました。体は重く寝台に沈みこむようで身動きがとれないが、ぼんやり目は見え。あたりの様子をうかがうことは出来た。窓から僅かな光が射して、窓際に置かれたサボテンの鉢や霧吹きの影が壁に映っていた。何かがうごめいている感じがして、彼は思った。ああ、まただ。
彼はドアの方が気になった。ドアの向こうには僅かばかりの廊下があって、すぐに急な階段があった。彼は二階で寝ていたのだった。この階段というものに、いつも不気味なものを感じていて、ミシミシという音をたて、知らないなにかが。上ってくるような気がするのだった。恐怖は彼を拘束する器具を手に持っている。それはきっとダブルバンドとか呼ばれるもので、とどのつまり恐怖とは矛盾の権化=母親みたいなものではないか?……それで金縛りにあうたび、思うのだった。ああ、部屋の掃除もしなきゃな。ダブルバンド・ママだろうと、それ以外の者だろうと。訪れるなら整頓された部屋の方が嬉しいだろうし。
とか考えていたら。急に部屋がぐっと狭くなって、目の前が壁になった。殺風景な部屋だった。金縛り中に水平方向の視界の得るのは初めてのことだったので、彼は驚いた。あれまぁ、これはなんとしたこと、この出来事、現象に「金縛り─タテ」という名称を私は与えたい。
そこでふと気づいた。右手の方に横になったサボテンがあるのを。もしかして、いま目の前にあるのは、「天井」と呼ばれるものじゃね?と思ったと同時に後頭部の方に倒れこむような感じがして、彼はやっぱり寝台に寝ていたのだった。