猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話を書いた

今年も鎮守の森に、鬼火があがった。二つ重なるようにして。伝説によれば、道ならぬ恋に走った恋人たちの魂らしい。死んだのちも二人は離れず燃え尽きても、また鬼火として蘇るらしい。地獄でも、ずっと。時代はうつろい。伝説の伝える禁忌が大袈裟なものに感じられるのは皮肉だ。

砂漠が広がっていた。なるほど踏破するには苦労しそうだが。空は不動のドームのようでもあり、熱いというより息が苦しかった。目を覚ますと夜で。ぼくは階段を下りると冷蔵庫を開けた。運良く冷えた瓜があって貪り喰った。口をぬぐい、ひと息。ここがオアシスだ、って思った。

喩えて言えば2月は小さな女の子だ。1月の後にやってきて、足早に駆けてゆく。彼女が行ってしまうと、ぼくらはもう思い出せない。まるで霞の向こう、彼女が存在したことの方が夢のようだ。でも2月もひと月。1年の12分の1。月めくりのカレンダー1枚分の厚みはあったのだ。たぶん、

雨が降り始めた。ビルの谷間に。優しい雨だ。ちょっとお店によって、お買い求めなってはいかがですか、新しい傘でも?と尋ねているような。また、今度ね、と呟きぼくは駅まで走った。

「この季節は好きだ。土を掘るなら春」と言い、今日もせっせと落とし穴を掘る女。