こんな話を考えた タイトル「浮遊」
浮遊
朝まだ早い時間。シロと一緒に公園へ散歩いったら。隣のサキちゃんが宙に浮かんでいた。よく見ると、泳いでいるようだった。地上70センチくらいのところを平泳ぎ。でも3メートルも進むと徐々に沈んでしまい、地面に足をつけ、ふぅ、とかいっている。シロと一緒にかけ寄ると、サキもこちらに気づいた。わたしは言った。
「サキ、すごい。泳げるようになったんだ」
まあ、少しだけ、とサキは答えた。
「ううん、すごいよ、でもさ、ここ公園だよ、あんた寝ぼけてない?」
サキはあたりを見回して、そっかな、と答えた。
「絶対にそうだって、絶対に、あんたはまだお布団の中にいて、まだ夢みてる。そのパジャマは可愛いけどね」
わたしがそう云うと、シロも頷くようにワンと吠えた。