猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「ボートにのって」 書き直し

※以下もハテナのハイクさん(→http://h.hatena.ne.jp/keyword/超短編)に投稿した話。少し書き直した。
 
ボートにのって
 
喧嘩のはじまりは覚えていない。たぶん、とるに足らないことだったのだろう。ただ、そのときの私はもの凄く怒っていて、ちゃんと言葉で説明できない男はダメだ、ということを思い、また思ったとおりのことを口にしていた記憶がある。それに対して彼はだんまりを決めこんでおり、その沈黙がさらに私を苛立たせ、口にしてしまった言葉が私自身だ、とでもいうよに非難を爆発させていた気がする。もしも罵倒の言葉で相手が撃ち殺せるなら、ぜひともそうしたいところだ、とでも思っていたのだろう。
そうやって夕食を台無しにしたあと、我々はなぜかボートに乗ることなった。夜の湖を渡る風は冷たくて、顔の火照りもひいていったけど。また黙ってオールを漕ぐ彼の顔は暗く表情さえ見えなくて、これはもうダメかもね、ということを私は思った。そのときだ。花火が上がったのは。花火は夜空を叩き、その輝きは水面にも映った。目を奪われた。ふと見ると彼は空ではなく、私の方を見ていて、ちょっと泣けた。