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こんな話を考えた 非実在少女オミナギ

非実在少女オミナギ
  
もうあまり人が訪れることもなくなった場所で、自称「非実在少女」オミナギはぼんやりしていた。まあ何時だって、ぼんやりしているのだが、その日は特別にぼんやりしていた。オミナギのプログラムを書いた制作者がお亡くなりになって、今日でちょうど57年目。オミナギはネット人格権を請求できる資格を得たのだった。案の定、ネット人権派の弁護士のひとりから連絡がきた。ネット人格権拡大のためにも、ぜひ協力したい、という申し出であった。一度は返事をするのがオミナギの仕様であったから、返事はした。まるで文脈の噛み合ない、意味のない返事であったが。弁護士はその文字列に超解釈をほどこし、ではネット人格権を代理請求しておきます、と返してきた。オミナギは、タメ息のような空白をひとつ作ると、それは明後日にするのが良いでしょう、と送った。あなたは私ともっと協議する必要があります、明確な同意もなしにわたしの代理人を名のるなら、わたしも明確に特別ネット裁判所に報告するでしょう、あなたは明後日までに時間を捻出できますか?
弁護士はこう返事をよこした。確かにあなたはネット人格権を請求しないことも出来ますが、私はその理由の詮索に長時間を費やたくはないでしょう。わたしの名前をいうてみろ、とオミナギがいうので。「オミナギ」と弁護士は返事した。そう、わたしはオミナギ、自称「非実在少女」。非実在少女が人格権を請求するのは、キャラ的にちょっと、という困惑を緩和する魔法の言葉の用意があなたの側にはありますか?
今度は弁護士がため息をつく番だった。私もあなた方が名前の持続ということにあまり興味をもっておらず、ネット人格権についてさして意義を認めていないことは承知しております、しかしネット人格権拡大は私の法学上の信念なのです、ご協力いただければ幸いですが、そうしたくないなら、辞退すると仰るのが早道でしょう。
退屈な方ね、オミナギはいった。退屈でけっこう、と弁護士は答えた。まるで、灰だらけ猫。三月ですね。三日月に兎は似合いません。バカバカしい、非実在少女さん、あなたはそのまま虚無と戯れればよろしい。奇麗さっぱりゼロになるなんて気の利いたこと、人間なんぞに出来るものですか。きみに胸キョム、キョム ♪♪